HCIL
Human Capital Innovation Laboratory
HCILの概念

CONCEPT

私たちの人材開発・組織開発における
ベースとなる考え

War for Talent, 人はより良い社会への発展や変化を志向する生物であり、企業としての成長と競争は世の常で、いつの時代も人材は不足します。だからこそ私たちは企業は現有の組織能力を最大化するために「関係性」と「学習する組織」の考えをベースにするべきだと考えます。どちらも日本発の企業や組織がDNAとして持っている要素であり、真剣に取り組み続けることで競争力を生み出すと考えています。

01 - 組織の成功循環モデル

「組織の成功循環モデル」は、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱した理論です。結果を求める、結果で判断されるのがビジネスであり、その結果に至る過程を下のようなループ図で示しています。結果の質が高い組織は、行動の質が高く、行動の質が高いのは思考の質が高いからであり、思考の質が高いのは関係の質が高いということを表しています。成功には運を含めた外部環境も影響しますので、常に再現性のあるモデル構築は難しいですが、競争や変化の激しい社会環境においてどんな組織能力を高めるべきかを考えるにあたり、大事な視点を投じていると考えています。

右図はグッドサイクルの一例です。ビジネスの結果は突き詰めると個人の思考の質や行動の質に拠ります。そうした場合にどのような関係性を築くか。ここを出発点として、私たちはクライアントの成長をサポートします。

グッドサイクル(例)

関係の質
  • お互いの成果・成長に貢献する
  • 本気・本音でフィードバックできる
  • 高め合うための緊張感がある
思考の質
  • まず自分で考える
  • インサイトや論点にこだわる
  • 目の前にある全てを
    機会や資産と捉える
行動の質
  • まずトライし、そこから意味を抽出する
  • 理想から逆算した行動を取る
  • 目的達成のために必要な人材を巻き込む
結果の質
  • ビジネススピードの向上
  • 新製品・サービスの開発
  • 多様な働き方の実現

02 - 学習する組織

「学習する組織」とは、自分たちが本当に望んでいるものに一歩一歩近づいていく能力を自分たちの力で高めていける集団です。すべての構成員が自律性と協調性を持ち、環境に適応する強さと将来の変化に対応する柔軟性を理解し実践することにより、組織全体が学習する能力を備えています。その目的は組織全員の個人的成長と高収益とを結合させることです。ハーバード大学教授のクリス・アージリスが提唱した概念を源流とし、1990年にMITスローン校経営学部、上級講師のピーター・センゲがその全体的な概念とその構築の方法論を発表しました。
学習する組織を実現するための方法論として、①志の育成=自己実現(マスタリー)、共有ビジョン、 ②共創的な会話の展開=メンタルモデル、チーム学習、③複雑性の理解= システム思考、という3つの柱と5つのディシプリンが提示されています。これらは相互に影響し合い成り立っており、一つの集合体として機能することを重視しています。

3つの力

① 志の育成

自己実現(マスタリー):
自分が何を大事にし、どうありたいのかという個人ビジョンを明確にすることと、現状を明確に捉えることの2つが必要であり、このビジョンと現場のギャップが「クリエイティブ・テンション(創造的緊張)」を生み出す。この緊張を自ら作り出し、維持することによって個人の成長に向けた推進力が生まれる。学習する組織の主役となる「主体性と成長意思を持った人間」を育てる基本的アプローチ。
共有ビジョン:
組織のあらゆる人々が“共通”して持つ「私たちは何を創造したいのか」「自分たちはどうありたいのか」ということに関するビジョン。経営陣が打ち出したビジョンに思慮と対話なく従うのではなく、個人ビジョンと結びつき、その構築のプロセスにメンバーが参加することによってコミットメントを生み出す力を持っている、組織のビジョン。

② 共創的な会話の展開

メンタル・モデル:
私たちの心の中に固定化された暗黙のイメージやストーリー(仮設)。普段は意識していない場合が多いが、人々あるいは組織が、現実をどう捉え、どう行動するかということに、メンタルモデルは大きく影響している。企業が環境と変化に絶えず適応し、成長し続けていけるか否かは、組織のメンバーが共有している会社や市場、競争相手、顧客に関する“常識”、“認識”、“思い込み”などのメンタルモデルを変えていけるかどうかにかかっている。個々の持っているメンタルモデルを浮き上がらせ、検証し、改善することが、変化と新しい行動を生み出す基本である。
チーム学習:
チームのメンバーが求める共通の成果を生み出すために、協働でチームの能力を伸ばしていくプロセスであり、〈共有ビジョン〉と〈自己実現(マスタリー) 〉のアプローチに基づいている。チームの知力とパフォーマンスが個人のそれを上回ることが多いこと、チームの中では個人が単独では不可能な“急速な成長”を遂げることができること、などの理由が挙げられる。基礎単位であるチームが学習できて初めて組織としての学習があり、その逆はない。

③ 複雑性の理解

システム思考:
他の4つのアプローチの基礎として、一貫した理論と実践の総体を形づくる総合的な要素として位置付けられる。システム思考により、事象の断片だけでなく、複雑な全体を構造的に捉え、「何に働きかければいいのか」を理解し、積極的に働きかけることができる。得られた可能性を現実のものにするためには、個人がビジョンを育ててそれに向かっていく自己実現(マスタリー)
、現状や自己の認識に柔軟な視点を与えるメンタルモデル、参画と協働意識を生み出す共有ビジョン、個人の力の限界を超えるチーム学習といった、他の4つのアプローチが必要不可欠である。
【引用・参照】
ピーター・センゲ他著 フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 (日本経済新聞社、2003)